夫不在の女性の奮闘を描いた敗戦国-日独の映画

「花のれん」の淡島千景
「花のれん」の淡島千景
「マリア・ブラウンの結婚」のハンナ・シグラ
「マリア・ブラウンの結婚」のハンナ・シグラ

日本:1959年「花のれん」豊田四郎監督、主演:淡島千景、時代背景:大阪吉本興業―第二次  大戦前の創業期

ドイツ:1979年「マリア・ブラウンの結婚」ファスビンダー監督、主演:ハンナ・シグラ、時代背景:敗戦後の復興期

 

「花のれん」は山崎豊子の直木賞受賞作が原作で、大阪[船場の御寮さん]が夫の死後一家の商売を守るため、若後家の身空で知らない寄席の世界で頭を下げ・機転を利かせ当主として必死に頑張り28軒の寄席と通天閣を持つまでに至った、第二次大戦前の約20年間を描く。出征した息子の帰国を神戸に迎えに行った日のB29大阪空襲で大半が焼けた場面で終わる。若い淡島千景が商売だけを考えて演じる姿は、今ある大阪吉本を創業した必死さを実感する。

 

「マリア・ブラウンの結婚」は戦争中にドイツ兵と挙式し翌日出征した夫が終戦後行方が知れず、背中に夫の名前を書いた板を背負い毎日駅で探すことを止め、米軍専用バーで働き始めたマリア・ブラウンが英語を覚え、復興期のビジネスに極端迄に順応し強く生きる中で、雇い主の経営者―中年フランス人にとり欠かせない存在となる。独立し庭付きの家を買った直後夫が戻り、中年フランス人の遺産も受けるが偶然のガス事故で死ぬ場面で終わる。

 

両映画とも夫不在の女性が状況を嘆くことを許されず現実世界でたどり・頑張ったプロセスで、服装を地味にしてその裏に家族・男関係や女性的内面を覗かせるのが「花のれん」で、遠慮が全くないのが「マリア・ブラウンの結婚」。 社会規範や宗教観の違いが背景にあるが、どちらも主演女優の際立った個性が映画のストーリーを作っている。   この二つを見ると、日本では社会のブレーキが利いているが、ドイツはブレーキが利かない社会だと感じる。

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コメント: 1
  • #1

    原 能子 (金曜日, 12 4月 2013 13:55)

    女性が頑張る二つの映画、観たくなりました。
    wowwowでやればいいのですが.....
    社会のブレーキが利く、利かない。とは、どういう意味でしょうか?

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     代表 尾形耕太郎
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